ショートストーリー「心に残る映画には、もう一つの物語が」

映画のセリフから気に入った「日常英会話」を拾い出しキーセンテンスとして作成した『創作 Short Story』

私は十分適任です。I'm fully qualified.

第78号『敬愛なるベートーヴェン
原題「Copying Beethoven」

イギリス/ハンガリー映画 上映時間104分
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奈緒の母:奈緒ちゃん、あなたの人生で最も大事な事だろうから、お父さんにも
     相談しなさいね。いま、お父さんは書斎で日本古代史を勉強してるわ。

(書斎をノックする奈緒

奈緒の父:奈緒かい? そろそろ現れる頃だと思っていたよ。お小遣いが欲しいんだろう?
  奈緒:冗談やめてよ。今が私の一生で最も重要なの。男性がうらやましいわ。
     お父さんみたいに働いて、好きな事が出来る。結婚の心配をしなくてもいいし…
     私はどちらか一方を選ばなくちゃいけないのよ。キャリアか家族かを。

奈緒、泣きはじめながら)

     私には十分資格があるのよ! でも、それだけじゃ、何の意味もないの。
奈緒の父:資格があるって、何言っているんだい? 素晴らしい人生が待っていると
     いうのに。お父さんに話してごらん。

奈緒、父親に事情を話し始める。父親、にっこり笑って)

奈緒の父:そんなことか! 奈緒、仕事を取りなさい、仕事を。
     健程度の男ならいっぱいいるよ。40歳すぎてからの結婚、結構じゃないか。
  奈緒:お父さんたらぁ!!